彼は、会社勤めをしながら私と一緒にバンドをしていたメンバーでした。
専門学校時代の同級生で青春時代を共に過ごした仲間です。

30年ぶりに再会した際に、彼からバンドに誘われました。千葉県と新潟県という距離もあったので、はじめは断ろうとも思っていたときに彼から「ガンを告白」されました。すでにオストメイトを付けており、病状の進行も進んでいました。
「もう、長くない」その言葉を聞いて、彼が最後まで好きな音楽を楽しめるならと加入をすることにしました。

活動してから3年目にはいり、彼の病状は悪化の一途をたどりました。世の中は、くしくもコロナ禍に突入をしたころでバンド活動もなかなかできなかった中で、彼は勤めている会社でも車が運転できなくなり、療養をすることになりました。

滅多に弱音を吐かない彼が、めずらしく電話をかけてきました。
「会社に勤められなくなって、家族に迷惑をかけたくない」切実な状況を話してくれました。 調査したところ、がんサバイバーのうち、男性では44％、女性では36％が収入が減ったと回答。 200万円以上という大幅ダウンを経験した人も男性では12％もいるそうです。

そこで、当社の販売サイトを活用した「がんサバイバーの家計応援」を考案し、彼に提案書を送りました。
その時の彼の「やっぱ、ケンヂはよく考えるわ！」って嬉々とした声が忘れられません。
「よかった！じゃあ、準備に入るね！」と彼に返事をし、事業構築をしていた最中に、彼は天国へ旅立ってしまいました。
その理由は、当社の利益を折半にして薄利にしているからです。また、システム利用料などの経費を抑えて運営をしているからです。
今後は、がんサバイバーの家計応援から始まったこの仕組みを、貧困家庭格差対策や、ひとり親家庭の支援も含め拡大してゆきたいと思います。

多くの皆さんに活用いただき、喜んでいただけましたら幸甚です。


運営会社 NANOBRAND.LLC
CEO 高橋 憲示